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Interview

デビューした先輩たち_女優 井上 希美 さん

業界で活躍する卒業生に聞きました

在校中に劇団四季のオーディションを突破し、『美女と野獣』のヒロイン・ベル役に大抜擢され、その後、テレビドラマ『やすらぎの刻~道』にも出演。
女優として活躍する卒業生・井上希美さんに、役者をめざしたきっかけや学生時代の学びについて、語っていただきました

女優

井上 希美 さん

Inoue Nozomi

2014年卒業

1992年生まれ、兵庫県出身。高校時代は放送部に所属。
3年生のときに出場したNHK杯全国高校放送コンテストの朗読部門で4位に。

本校の総合俳優専攻に入学し演技を学ぶ。在校中に劇団四季研究所の研究生に合格し、2014年から入所。
2014年『ジーザス・クライスト・スーパースターエルサレム・バージョン』アンサンブル、2015年『サウンド・オブ・ミュージック』リーズル役、2016年『ガンバの大冒険』潮路役などを経て、2016年京都劇場で上演された『美女と野獣』ではヒロインのベル役を熱演。

2019年テレビ朝日の『やすらぎの刻~道』では根来信子役を、2020年連続テレビ小説『エール』では藤丸役を演じた。

夢中だった学生時代が、今の私をつくっている

もっと相手に思いを伝えたい!その想いから、俳優をめざすことに

どんな高校生活を送っていましたか?
井上 希美さん

私が通っていた高校は、どちらかといえば進学校で、ほとんどの生徒は大学へ進学します。私も大学に進むだろうと思っていたのですが、演技を勉強することになったのは、たまたま入部した放送部がキッカケでした。高校入学後に友だちと一緒に参加した部活見学で、先輩の朗読を聞いて「こんなすごい高校生がいるのか!」と衝撃を受けたんです。すぐに入部して、コンクールにチャレンジし始めました。

 高校3年生の春、NHK杯全国高校放送コンテストの朗読部門で兵庫県大会優勝。夏の全国大会では4位になりました。実はその全国大会のとき、途中で1カ所詰まってしまったんです。それが本当に悔しくて、不完全燃焼で…。自分の思いを表現して人に伝えたい、小さなころからぼんやりそんな思いはありました。朗読も私なりの表現の一つだったんです。高校最後の一番の大舞台で、思うような結果を残せなかったのが悔しかった。もっと表現者としてのスキルを磨きたい! そう思うようになりました。朗読とは違う表現手段を探す中で出会ったのが、演劇です。

 最初は、大学と専門学校のダブルスクールもありかなと思ったのですが、やるならとことんやろうと専門学校一本で学ぶことに。演じることをどっぷりと学べる学校を探していたところ、高校の先生から「こんな学校があるよ」と紹介されたのが、この学校です。神戸から母と一緒に東京にきて、校内を見学した瞬間に、「この学校に入りたい! 」と、ビビっと感じたんですよ。舞台と映像、両方学べる点にもひかれました。

在校中に経験した数多くの舞台が私の引き出しを増やしてくれた

在校中に学んだことで、印象深かったことは何ですか?

思い出深いのは、海外研修と舞台制作プロジェクトです。海外研修は、約8日間ロサンゼルスへ。私にとっては、このときが初めての海外。ロスの街も雄大な景色も、目に入るものすべてが新しく、世界が広いこと、そして自分がちっぽけなことを痛感しました。また、ステラ アドラーアカデミーでは、スーザン・バドソン先生のワークショップに参加。先生の愛にあふれた指導にふれ、役者に必要な「自分の心を包み隠さずにオープンにすること」とはどういうことなのか?を実感できたと思います。

 舞台制作プロジェクトは、学生が出演者となって一般のお客様に観ていただく作品をつくり上げるものです。3年間を通して、数多くの舞台を経験できます。私は、骨髄移植推進キャンペーンミュージカル『明日への扉』の俊江役や遥役のほか、劇団四季出身の先生方が指導してくださるミュージカル『ウエストサイド物語』のヒロイン・マリア役、『クレイジー・フォー・ユー』のヒロイン・ポリー役などを演じました。劇団四季でダンサーをされていた望月龍平先生や、演出助手をされていた横山清崇先生による指導は、憧れの方ということもあって、特に記憶に残っています。

 一年中何かしらの舞台に出演していましたし、日中は授業にも出なければいけないので忙しかったです、ホントに。でも裏を返せば、この学校には「やりたい」と思えば、いくらでもできる環境があるということですよね。プロジェクトはたくさんあるし、プロの視点から鋭い指摘をしてくれる先生もいる。同じ目標を持った仲間もいて、いろいろな舞台にチャレンジできる環境が整っている学校って、他にはないと思いますよ。

 プロになったいま、学生時代とは違うなと感じる点は、求められるレベルに到達するためにかけられる時間です。学生時代は、ひとつの舞台を仕上げるまでに3~4カ月ありました。芝居・ダンス・歌の稽古もたっぷりできるし、作品に丁寧に向き合う時間が取れました。しかし、プロの世界では、複数のお仕事が重なることもよくあり、 稽古時間も短いんです。そんな中でも、プロとしてのクオリティを保てているのは、学生時代に忙しくも集中して過ごした3年間があったから。役づくりを考えて試行錯誤を繰り返した経験が、自分の肥やしになっていまに活きているんです。

 がんばっている私を見ていてくださった先生方との絆も、いまの私の大切な宝物になっています。この業界では、人と人とのつながりがとても大切です。そのご縁から仕事につながることもよくありますからね。

井上さんのあの日あの時

在校中の井上さんは、一年を通じていつも舞台制作プロジェクトに挑戦していた。2014年2月の卒業公演では、ミュージカル『クレイジー・フォー・ユー』でヒロイン・ポリー役を演じた

ミュージカルの舞台からテレビへと活躍の幅を広げて

現在のお仕事と、今後の目標について教えてください。
井上 希美さん

 在校中に、劇団四季の研究生募集オーディションにチャレンジし、約40人の研究生に合格しました。1年後の選考でも約20人に選ばれ、正式に入団できました。でも入団で満足してたらダメなんです。ですから、「まずは、ヒロイン役へのステップとなる『ガンバの大冒険』の潮路役をめざそう。だとすれば、その前に経験しないといけないのは、『サウンド・オブ・ミュージック』のリーズル役!」と逆算して、自分なりのレッスン計画を立てていました。学生時代の役は「与えられるもの」でした。でもプロの世界では、めざしたい役を定めて、その役に必要な力を自分自身で磨き、積極的に獲りにいかなければ、役はもらえないんです。運とタイミングに恵まれたこともあり、2016年に最大の目標だった『美女と野獣』のベル役を務めることができました。

 2019年4月からは、テレビ朝日のドラマ『やすらぎの刻~道』で、しっかり者の長女・根来信子役をいただき、大先輩の俳優さん方と直接お話しさせていただく機会にも恵まれました。毎日オンエアされるテレビドラマですから、撮影もものすごいスピードですよ。たしかな演技、臨機応変な演技が求められ、日々勉強の連続でした。信子として生きている時間はとても幸せでした。観てくださった方が喜んでくださると「やってよかった」と思います。

 もともと私は自分に自信が持てないたちで、できないことはまだまだたくさんあります。でも一足飛びには進めない。与えていただけるチャンスには真摯に取り組み、出会った方々を大事にして、一歩一歩成長していこうと思っています。仕事をしていると思うに任せない場面にでくわすこともたくさんあります。それでも頑張ってみようと思えるのは、自分の思いを「誰かに伝えたい」という想いがあるから。その想いがある限りは、ゆっくりでもいいので確実に前に進んでいきたい、そう思いますね。

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