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Interview

デビューした先輩たち_映画監督 小路 紘史 さん

業界で活躍する卒業生に聞きました

本校で映画の基礎を学び、映画監督デビューを果たした小路紘史さん。
ハリウッド映画界で活躍する本校 副校長ダグ・キャンベル先生、同じく卒業生で映画監督の廣瀬貴士さんとともに、これからの映画づくりやめざす監督のあり方について語りあいました。

映画監督

小路 紘史 さん

Hiroshi Shoji

2008年卒業

高校卒業と同時に広島から上京。

卒業後、10作品以上の短編映画を制作し、日本・海外の映画祭でノミネート、上映をされる。2011年に制作した短編映画『ケンとカズ』はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2011にて奨励賞を受賞。その他ロッテルダム国際映画祭2012、リスボン国際インディペンデント映画祭2012など4カ国で上映される。

2016年長編版『ケンとカズ』が東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門作品賞を受賞し、商業映画の映画監督としての一歩を踏み出す。

自分スタイルで作ることが、一番大切互いに刺激しあえる映画監督でありたい

僕らの映画づくりの原点は、ダグ先生に学んだ“アメリカン・ウェイ”

ダグキャンベル(以下ダグ) 2人は自主作品を作り続けているんだね。私が20代でデビューした時は、スタッフが後ろにいてくれた。君たちは企画から人集めまで、すべて自分でやるのは大変だよね。経済的にも文化的にも、若い人を応援しようという環境じゃないなか、やり遂げている君たちは凄いと思う。学校時代が懐かしいよ。

廣瀬 ダグ先生がアメリカで習ってきたことを教えてもらえたのは本当に大きかったです。これは他の映画学校とは絶対に違ったという実感がありましたね。脚本・演出を習っている中で、肌でアメリカン・ウェイだという感じがしました。

小路 脚本を持って行ったら親身になってダグ先生に観てもらえました。私が日本的に「このシーンはナメの後は寄りで」みたいなことを言ったら、ダグ先生は「そんなことは考えるな。かっこいいショットを撮ればいいんだ」と、日本的でなくアメリカ的な考えで言ってくれて、それが今でも残っています。今でも悩んだら「かっこいいショットを撮る」を思い出しています。

廣瀬 僕はこの学校に入学する前、いろんな映画学校を見たのですが、どうも納得できなくて、アメリカにそのまま行っちゃおうかと考えた。でもこの学校を知って、ダグ先生に会って教えてもらい、その後自分もアメリカに行って、ダグさんのところでスタッフとして入れてもらって現場も味合わせてもらった。他の学校では絶対なかったことですね。

小路 ダグ先生は、映画の枠を教えてくれるというか。日本映画の場合は、すごいオチを考えた方がいいとか、そういった映画が多い中、しっかり基本的なところ、脚本を教えてくれる。今回、『ケンとカズ』が良かったと言ってもらえたのは、すごくベーシックなものだと言われていて、年齢が上の方々が評価してくださった。ダグ先生が教えてくれた、枠の中で脚本を作れたからだと思っています。

もっともっと作りたい、見て欲しい映画祭での受賞で、チャンスが広がる

ダグ 『ケンとカズ』東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門 作品賞受賞おめでとう。企画をたてた所から話を聞かせてくれるかい。

小路 同じ題名の短編を作って、評価がよく、そのテーマが普遍的だったので、それを長編化しようと。そして2012年から1年かけて脚本を書きました。お金はクラウドファンディングで集めて、2013年にスタッフを変えながら50日間撮影を行いました。ダグ先生が授業で「ノーマルで撮るな。ライトを1本でもいいから立てろ」と教えてもらったので、照明にはすごくこだわりました。そして2年半かけて自分で編集しました。すごく高いクオリティーでできていると思います。

ダグ 完成まで4年、よくめげなかったね。途中で自分のことが分からなくなったりしなかった?

小路 すごくありましたが、カメラマンなど周りが協力的だったので、意見を聞きながらできたのは大きかったです。じゃないと2年半も編集できなかった。最初140分くらいあったんですが、ダグ先生が短くしろって教えてくれていたじゃないですか。

ダグ 学生のときはすごく言いましたね。監督は制作の途中、気持ちがブレがち。4年間粘り倒したのは凄いと思うよ。廣瀬くんはどうだった。

廣瀬 私は短編を撮って賞をいただいたりしていたので、企画書をプロデューサーに見せて「これを長編にしたいんです」という話をしていたんですけど、内容がすごくバイオレンスでスポンサーがつきませんでした。

ダグ 廣瀬は、だれも作れないものを、テレビでは流せないようなものを作っているんだね。それはブランドのようなもので、そのファンが観るという、ニッチな所に刺さる作品をめざしているんだね。

廣瀬 そして以前に、タイのフィルムチャレンジという、映画監督をめざしている若者を集めた映画祭で、最優秀・ベストフィルムをいただいたんです。そこで賞金を数百万いただいたので、「これで好き放題できる」と、ホラーのジャンルで有名な役者さんにも出演していただいて、自分がプロデューサーとして作っています。これから売りだしていくところですが、いろんなプロデューサー、配給会社の人に観てもらっていますがひいちゃって(笑)。ただ評判は良いのでこれからですね。

映画監督の“成功”はひとつではない互いにインスパイアしあいながら作ろう

ダグ 2人とも頑張っているね。これは私の経験で授業で何度か話しましたが、1本目、24歳でデビューして、その後ぜんぜん話がなかった。レストランのバイトに戻って皿洗いをしていたら電話が鳴って「40歳の監督をクビにして若い監督で撮りたい、君どうだ」と言われ、ぜひ! と手を挙げた。その映画が、『超能力学園Z パンチラウォーズ』という、この薬を飲んだら女の子の服が透けて見えてしまうといった学園モノ。それをやって監督に戻った。

小路 いま、ちょうどそういった話がきています(笑)。断りつつ、保留にしていますが…。

ダグ 個人的には、その話を受けて力を証明してほしいな。企画を気に入らなければ名前を変えたっていいんじゃないか。職人として、そうした映画を撮っていくというのも選択肢のひとつだと思うよ。

廣瀬 映画監督は、成功の定義がぜんぜん違うと思うんです。やりたいことをやっている監督もいれば、映画監督としてやっていることが成功という監督もいる。世界に目を向けると、タランティーノのように、自分のフィルムグラフィーは完璧にしたいという人もいるので、私はそちらに憧れます。

小路 私もデビット・フィンチャーみたいなフィルムグラフィーに憧れますね。

ダグ 私は職人として映画を撮ってきた。その結果、次で28本目の長編を撮ることができている。すべてが名作というわけではないし、これはな~という作品もある。ただ、ずっと監督をしていたいという思いがあるから、そういう道を選んだ。2人が違うというのでなく、2人はアーティストだね。それを貫き通しても良いんじゃないかな。今日は2人の生徒とでなく、2人の映画監督と話せて嬉しかったよ。これからもそれぞれの道で、一緒に頑張っていこう。

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